分割表における行効果と列効果の独立性の検定には,伝統的にカイ二乗検定が用いられている.しかし,小標本やスパース分割表の場合に,カイ二乗検定の近似精度の低下することがよく知られている.そのような場合には,正確検定を適用することが望ましい.分割表の正確検定は行や列のカテゴリー数が多いときや周辺和か大きいときに,膨大な計算時間を必要とする. 本論文では,正確検定のための二つのアルゴリズムを紹介する.一つは同一周辺和をもつすべての分割表を効率的に数えあげるネットワークアルゴリズムであり,もう一つは同一周辺和をもつすべての分割表を一つずつ数え上げる方法である.二つのアルゴリズムの性能を様々な分割表の正確確率の計算に要するCPU時間に基づいて比較する.有用なアルゴリズムの推奨を与える.さらに,正確検定とカイ二乗検定の〓離を有意確率と分割表に含まれるゼロセルの個数との関連から評価する.