抄録
同一のカイ二乗分布に従う互いに独立な確率変数の重み付き和の分布関数を,自由度が1または偶数の場合に計算する一般公式を求める.このような確率変数では,特性関数が簡単な形になる場合に,それを求めたのち反転して分布が求められ,簡単にならない場合にモーメントを等しくおくことで,カイ二乗分布の定数倍やカイ二乗分布の適当な冪乗の定数倍があてはめられていた.とくに,このような確率変数の有限個の和の場合には厳密な分布関数の計算はなされていなかった.ここでは特性関数を,複素積分と留数定理を用いて強引に求める.求められた式は,とくに有限個の場合に容易に用いることができる.例として,累積カイ二乗統計量の分布を計算した.