計算機統計学
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相関行列に基づく主成分分析におけるCookの局所影響分析
張 方紅田中 豊
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2003 年 15 巻 1 号 p. 1-17

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抄録

Cook(1986)の局所影響は,基準関数として尤度距離を用い,基準関数を摂動パラメータの関数と考えたときの法曲率の大きさでパラメータに対する影響の大きさを評価する方法であり,いろいろな観点からの影響を評価する一般的な方法として知られている.しかし尤度距離の定式化が困難なため,主成分分析の影響分析など,固有値問題で定式化される多変量解析の影響分析には,この方法は,ごく最近まで応用されていなかった.本論文では,多変量正規分布を想定し,相関行列の固有値・固有ベクトルを関心のあるパラメータ,もとの変数の分散を局外パラメータとして,尤度距離を定義してCookの局所影響を評価した.また,そのやり方が影響関数に基づくわれわれの一般的影響分析法(Tanaka,1994),すなわち,影響関数に対する,パラメータ推定量の漸近共分散行列の逆行列を計量行列とする主成分分析によって複数観測値診断を行う方法と本質的に同じ結果を与えることについて議論した.数値例により提案した方法の有効性を示し,また,これまでの研究結果と比較した.

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© 2003 日本計算機統計学会
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