抄録
昨今のダウンサイジングやパーソナルコンピュータの高性能化,低価格化などの日常的にも顕著な事例に代表されるように,計算機環境は日々,高速化しつつある.その内容も単体での高速化から,複数CPU搭載による性能の向上,あるいは独自技術による命令空き時間の有効活用など,様々な形態をとりつつある.また,インターネットに代表されるようなコンピュータネットワークと関連インタフェースの普及に伴い,単なる単体での高速化にとどまらず,複数の計算機環境を擬似的に1つの仮想的な計算機資源とみなし,計算性能を向上させたり,データを分散配置するなどといったシステムも既に常態化しつつある.本論文では,多様化する高速計算機環境について概観し,既存の資源との差異,従来考慮する必要のなかった留意点などを述べた上で,計算機統計学における有効な活用の方法について考察する.