抄録
関数データの判別分析には,フィルタリング法をはじめ,正則化判別分析や関数線形判別分析などの線形的手法が提案されてきた.しかし,教師データの数が少ない場合や,各クラスが共通な共分散行列をもつ正規分布に従うと仮定できない場合には,線形判別分析が必ずしも有効とは限らない.本稿では,非線形の判別分析の一つとして関数主成分分析の基底展開アプローチを用いる関数部分空間法とそれと同じアイデアで構成された関数CLAFIC法を提案する.関数部分空間法と関数CLAFIC法のメリットとしては,母集団の潜在分布を知る必要がなく,従来の多変量の主成分分析による部分空間法より,必要とする教師データが少なく,より速く解析できることが挙げられる.関数部分空間法と関数CLAFIC法の有効性を確認するために,フィルタリング法との比較を行った.これらの手法の解析結果を比べてみた結果,関数部分空間法,関数CLAFIC法も有効な手法である,特に,教師データの数が少ないとき,線形的判別手法より安定した判別結果を与えることがわかった.