計算機統計学
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総合報告
行列分解に基づく因子分析とその新展開
足立 浩平伊藤 真道宇野 光平
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2019 年 32 巻 1 号 p. 61-77

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抄録
 伝統的な因子分析の定式化は, 共通因子と独自因子を潜在的な確率変数と見なすものであるが, 近年になって, 両因子を固定された未知母数と見なし, モデル部のすべてがパラメータ行列で表現される因子分析の定式化が提案されている. この定式化に基づく因子分析法を, 行列分解因子分析 (Matrix Decomposition Factor Analysis; MDFA) と呼ぶことができる. 本稿では, MDFA, および, その新たな展開に関する諸研究が, 次の構成で, レビューされる. 序論の後に, まずは, MDFAの解の性質が論じられる. そして, MDFAにおける残差分析と因子得点の同定法, および, スパースMDFAが紹介される. さて, MDFAの特徴の1つは, その解と主成分分析 (PCA) の解の数理的関係を容易に比較できることであり, MDFAとPCAの解を対比する幾つかの不等式が提示されている. これらの数学的結果, および, それが示唆する経験的知見がレビューされる. 最後に, MDFAの制約版であり, 最小ランク因子分析に帰着する独自性制約因子分析について論考する.
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© 2019 日本計算機統計学会
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