2022 年 35 巻 2 号 p. 69-85
中南米の発展途上国であるX国では, ローンの返済遅延を起こす国民が多くいる. ローンの返済遅延が発生した顧客はデフォルトにつながる可能性が非常に高いため企業は製造費を回収できないでいる. 本論文はX国の二輪車販売ローンデータを分析対象としている. ロジスティック回帰, Random Forest, XGBoostによるモデルに基づき, ローンの返済遅延を起こしうる顧客を適切に判別できる信用リスクモデルを提案した. 加えてロジスティック回帰分析によりローンの返済を遅延する顧客の特徴を把握した. ローンの返済を遅延する顧客に影響する要因は金融機関の信用スコアが低い顧客や富裕層, 貧困層ともに, 自身の返済能力を越えたローンを組んでいる顧客であった. ローンの返済を遅延しない顧客に影響する要因は顧客の収入の高さや収入の安定さであった. 判別の予測精度を比較した結果, Random Forestによるモデルの予測精度が最も高いことが分かった.