計算機統計学
Online ISSN : 2189-9789
Print ISSN : 0914-8930
ISSN-L : 0914-8930
因子分析における最小2乗法と「正規」最尤法の非正規分布のもとでの比較実験
猪原 正守松浦 孝夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 4 巻 1 号 p. 13-24

詳細
抄録
本報告では,因子分析における代表的な3種の推定方法である,単純最小2乗法(SLS : Simple Least Squares method),重み付き最小2乗法(WLS : Weighted Least Squares method),正規分布を想定した最尤法(NML : Normal Maximum Likelihood method)の正規性の崩れによる影響度をモンテカルロ法によって調べた.なお,以下では,正規分布を想定しての最尤法を単に,正規最尤法という.数値実験は推定方法(3水準),標本サイズn(100と300の2水準),独自分散の真値の大きさ(大と小の2水準),非正規変数の選択(2水準)の各々の組み合わせに対して200回の反復によって行った.その結果,標本サイズが比較的小さいか,あるいは独自分散が比較的大きいときに,独自分散推定量と因子負荷推定量の平均平方誤差に関して,SLSがとりあげた非正規分布に関係なく一様に優秀であり,その分布の尖度あるいは歪度がゼロでないときにはWLSが最も頑健であり,NMLとSLSが同程度に敏感であった.また,非正規分布の尖度による影響が歪みによる影響よりも推定誤差に関してより重大であることがわかった.
著者関連情報
© 1991 日本計算機統計学会
前の記事 次の記事
feedback
Top