抄録
主成分分析における変数選択として,変数を落す前と落した後の主成分得点の相対的位置の変化が最も小さくなるような変数を順に落していく手法を提唱する.具体的には,変数を落すことに対して摂動理論を利用し,落す前と後の主成分得点の相対的位置の親近性をみる指標としてRobert & EscoufierのRV係数を利用する.この手法をJolliffeやMcCabeが提唱している変数選択手法の結果と比較するために,共通の数値例やJolliffeが用いた4つの人工データ,およびいくつかの実データにも適用し,変数のバイプロットやクラスター分析から観察される変数群との比較を行った.また,提案の手法が摂動を導入していることや相対的位置の比較に用いる元の行列を1変数落すごとに逐次更新していることに対して,摂動を導入しない場合や更新しない場合についても扱い,提案の手法の結果と比較した.その結果,提案の手法が主成分分析における変数選択の1つの手法として利用できることが示唆された.