計算機統計学
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変動係数に対するジャックナイフ-t推定とその数値的検討
汪 金芳田栗 正章大内 俊二
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1994 年 7 巻 1 号 p. 57-72

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抄録
本論文では,変動係数の推定に対する3種類の近似信頼区間を提案し,それらのもつ性質について解析的および数値的な検討を行う.3種類の信頼区間としては,正規近似に基づくもの,2次および3次のコーニッシュ・フィッシャー展開に基づくものを取り上げる.これらの信頼区間は,ジャックナイフ-t統計量に基づいて構成されている.ここでジャックナイフ-t統計量とは,バイアス修正の性質をもつジャックナイフ型確率変量を,その標準偏差に対するジャックナイフ推定値によってスチューデント化した量を意味している.被覆確率の観点から考えると変動係数の現実的な値の範囲内では,3次のコーニッシュ・フィッシャー展開に基づく信頼区間が最もよいことがわかった.また2次のコーニッシュ・フィッシャー展開に基づく信頼区間は正規近似に基づく信頼区間をかなり改良していることもわかった.数値実験は母集団分布に正規性を仮定して行った.またジャックナイフ-t統計量の分布関数に対する3次までのエッジワース展開を求め,上と同様な3種類の分布関数の近似についての議論も行った.得られた結果は信頼区間の場合と同様であり,母集団変動係数の値が非常に大きい場合を除けば,正規近似,2次のエッジワース近似,3次のエッジワース近似の順に真の分布関数に対する近似が良くなっていくことがわかった.
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© 1994 日本計算機統計学会
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