1995 年 7 巻 2 号 p. 163-176
従来,臨床試験での2処置間の優位性比較のための群逐次決定方式は,検査個数の経済性,解析回数の能率性などの点で有効な検定方式である.本群逐次決定方式は2値変量のペアデータに基づいて2処置間の有効率の差の検定を行う.これは,観測値ペアの反応をプロットした標本点のパスが3項ランダム・ウォークになることから,3項分布を利用した群逐次デザインになる.この群逐次デザインを構築する際,処置の実施と反応結果の入手との間に時間差が存在するような時間遅れ観測値を考慮した.さらに,試験中に劣性処置を受ける被験者数は少なくなければならないという被験者への倫理的観点から,この群逐次デザインを評価した.