計算機統計学
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統計データ解析の並列処理
下平 文彦小林 覚白川 友紀田村 義保
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1995 年 8 巻 1 号 p. 15-26

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抄録
本論文では,並列計算機"QCDPAX"において統計的データ解析を並列に実行した場合の並列化の効果について考察した.並列処理は16個の処理ユニット(PU)にデータを均等に割り付けることにより行う.例えば,重回帰分析における行列計算の方法は第1行をPU[0]に,第2行をPU[1]にというように割り当てる.もし行列の次元が16を超える場合には第17行をPU[0]に,18行をPU[1]と割り当てていくことにより,処理ユニットの負荷均衡をはかる. 並列処理の効果を基本統計量,重回帰分析および主成分分析について評価した結果,基本統計量においては標本数が多くなるにつれて並列化の効果が見られるが変量の数には依存せず,標本数が5000を超えると90%以上の並列化の効果が得られた.重回帰分析においては標本数および変量数ともに増加するに従って並列化の効果が見られ,32変量で標本数が10000の場合には並列化の効果が87.1%得られている.主成分分析においては変量の増加に対してほとんど並列化の効果はなかったが標本数の増加に対しては効果が見られ,16変量で標本数が10000の場合に66.5%の並列化効果が得られた.結論として大量のデータに対しては並列化が有効であることが示された.
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© 1995 日本計算機統計学会
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