抄録
Andersonらの理論的見地から,固体の低温熱容量について,近年の実験的および理論的研究を紹介した。Andersonらが仮定した二準位系のほかに,最近数多くの非晶質固体において“余分の”低エネルギー励起が見い出されてきた。コンピュータシミュレーションもそのような励起の存在を支持している。それらはまた“ソフトポテンシャル”理論によって説明された。熱容量や音速の異常な温度依存性は,固体電解質や高温超伝導体,純金属などの結晶性固体においても認められるようになってきた。これらの振舞いは非晶質固体の場合とよく似ており,Andersonらの理論によって説明できる。