熱測定
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熱分析による医薬品の安定性予測
上田 洋一岡本 昌彦大神 泰孝中井 清
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2004 年 31 巻 4 号 p. 179-185

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抄録
医薬品の安定性試験は,医薬品開発の中で最も長期間を要する試験の一つである。より良い医薬品を早期に上市するためには,その予備安定性試験を効率化し,より多くの精確な情報を基に保存条件を設定することが必要である。しかし,長期間の保存中に起こる各種分解を試験前の短期間で正確に把握し,安定性を確保するには技術的に難しい問題が多い。
我々は,その解決策として熱分析による新しい安定性予測法を開発した。本法は,分解から計算までの解析に要する期間が約2週間であり,迅速ある。操作は,主に熱分析とクロマトグラフ分析であり,簡便である。1測定当たり最少1mgで行え,安定性を予測するまでに要する試料量は約20mgである。微量で解析できるため,製造量が少ない開発初期からでも適用することができる。さらに従来6箇月間を要した予備試験と同等以上の正確さ・精度で予測することができる。本法は医薬中間体,原料,農薬および防疫薬にも適用できる高い汎用性を有する。
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