各種熱分析および特殊条件下X線回折により,高機能を持つペロブスカイト系酸化物について従来報告されていない相を発見した。Ba
2In
2O
5は910℃でブラウンミラライト型から立方晶ペロブスカイトに相転移すると報告されていたが,910~1070℃以上では歪んだペロブスカイト構造であること,および1070℃で二次相転移があり,より歪みの小さいペロブスカイト相に転移することを発見した。固体酸化物イオン伝導体としては1070℃以上の相が高いポテンシャルをもつことを明らかにした。BaBiO
3は130℃,470℃で構造相転移を起こし,単斜晶から菱面体晶,立方晶へ変化すると言われていたが,高感度熱分析を実施したところ,160,520,620℃で相転移が観測され,四つの相があることを明らかにした。また520~620℃では長周期構造が存在することを明らかにした。LaCrO
3は1気圧,~240℃で斜方晶から菱面体晶ペロブスカイトに,吸熱および体積収縮を伴って構造相転移することが知られている。クラペイロンの式を適用すると,高圧力下では室温でも菱面体晶が安定となることが予想された。高圧力下でのX線回折測定を実施したところ,室温,5.4GPaでLaCrO
3は菱面体晶に相転移することが確認された。
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