2005 年 32 巻 1 号 p. 12-19
口頭試問を取り入れて学生の理解度を確かめながら実験をすすめさせる物理実験指導法は,たくさんの実験技術を身につけさせることを目的にして行われている従来の学生実験にくらべ,物理学の基本的なものの見方や方法を与える点で遥かに優れている。熱と仕事の関係をテーマにした実験課題について,この方法による指導がどのように進められているかを具体的に示した。つづいて,入門物理の熱力学に関する講義で行っている教卓実験のいくつかを紹介し,それを歴史的説明と併用して行うとき,学生の興味を引き起こす点で大きな効果を持つことを示した。また,大学の総合教育において熱力学は重要な役割を担うべきであることを提言した。