Cardiovascular Anesthesia
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症例報告
心臓手術後に片側上肢の挙上困難を呈し,第5頸神経障害が疑われた2症例
南 絵里子山岡 正和石川 慎一山本 祐未林 文昭倉迫 敏明
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2020 年 24 巻 1 号 p. 119-122

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抄録

 心臓手術後に片側上肢の挙上困難を呈し,第5頸神経障害が疑われた2症例を報告する。症例1, 2ともに70歳代女性で,大動脈弁置換術後にそれぞれ右上肢,左上肢の挙上困難を訴えた。徒手筋力テスト(右/左)は症例1:三角筋0/5,上腕二頭筋3/5,上腕三頭筋4/5,症例2:三角筋5/0,上腕二頭筋5/5,上腕三頭筋5/4と上肢近位筋優位の筋力低下を示した。感覚障害や疼痛は明らかでなかった。ビタミンB12製剤の内服と理学療法を施行し,術後2~3週間で筋力は回復傾向となり,数カ月から1年以内に術前と同等に回復した。心臓手術後の第5頸神経障害の原因として,胸骨正中切開,術中体位,内頸静脈穿刺,頸椎疾患の関与が考えられた。

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© 2020 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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