2020 年 24 巻 1 号 p. 123-126
CTガイド下肺生検において空気塞栓症が生じ,循環虚脱と脳梗塞をきたした症例を経験した。74歳女性,左下葉肺病変に対しCTガイド下肺生検が行われた。生検が終了し,仰臥位になった直後に循環虚脱が生じたため心肺蘇生を必要とした。CT所見では右冠動脈内に空気塞栓を認め,一時的に大動脈バルーンパンピングを併用した循環管理を必要としたが,血行動態は早期に改善した。また,空気塞栓に伴う脳梗塞を併発したが,保存的治療により不全麻痺などの神経症状は徐々に改善した。空気塞栓症は早期に重篤な経過を呈する可能性があることから,CTガイド下肺生検の重大な合併症として診療チーム間で共有される必要がある。