2020 年 24 巻 1 号 p. 173-177
今回,巨大な心臓原発性悪性リンパ腫の患者に対し経静脈的ペースメーカー植え込み術の麻酔管理を経食道心エコー(TEE)を用いて,ペーシングリードをエコー下に誘導することで安全に行いえた症例を経験したため報告する。症例は70歳代男性。右心系を占拠する巨大な心臓原発性悪性リンパ腫と診断された。経過中にⅢ度房室ブロックをきたしたため全身麻酔下でのペースメーカー留置術を施行された。循環虚脱に備え体外循環のスタンバイを行った上で慎重に麻酔導入を行った。術中ペーシングリードの位置決めに際して透視下のみでは適切な位置に誘導することが困難だったが,同時にTEEを併用する事で誘導が可能であり有用性が高かった。