2020 年 24 巻 1 号 p. 179-182
症例は60歳男性。僧帽弁閉鎖不全症の診断で,僧帽弁置換術,三尖弁形成術,左心耳閉鎖術が施行された。人工心肺離脱後,上行大動脈のルートカニューレ及び送血管抜去部からの出血が多かった。血圧が低下傾向のため経食道心エコーで検索したところ,下行大動脈に解離を認めたが,上行大動脈の描出が不良のため大動脈直達エコーを行ったところ,上行大動脈に解離を認めた。Stanford A型急性大動脈解離と診断し,再び人工心肺を確立し,上行大動脈を切開したところルートカニューレ抜去部に解離を認め,上行置換術が施行された。人工心肺終了後に発症した急性大動脈解離の診断に,経食道心エコーと大動脈直達エコーが有用であった。