2021 年 25 巻 1 号 p. 119-125
気道確保困難例に対してVeno-Venous ExtraCorporeal Membrane Oxygenation(VV-ECMO)を用いた報告は散見されるが,頚部手術において自発呼吸下で鎖骨下静脈を用いてVV-ECMOを導入した報告はこれまでない。
69歳女性,気管食道浸潤のある甲状腺癌に対して全身麻酔での手術が予定されたが,癌による気管圧排で通常の気管挿管,気管切開ともに困難と予測された。頚部手術の気道狭窄に対して気道確保目的にVV-ECMOの導入を計画した。鎮静下にリサーキュレーション防止目的に大腿静脈脱血,鎖骨下静脈送血でVV-ECMOを導入し,安全かつ効率的な気道管理を遂行できた。