2022 年 26 巻 1 号 p. 81-85
同一家系内の二人のLoeys-Dietz症候群患者の複数回の麻酔を経験した。症例1 : 50歳女性,2回の大動脈解離に対して緊急手術を行った。いずれも挿管・動脈ライン確保に難渋し出血量も多かった。経過中,置換部遠位端の大動脈破裂により死亡した。症例2 : 30歳女性,症例1の長女。大動脈拡大に対して待機的に基部~胸腹部大動脈置換を3回に分けて行った。症例1を踏まえることで挿管・動脈ライン確保はスムーズに行え,経過良好である。
本疾患はMarfan症候群類縁疾患であり,より若年で大動脈解離や破裂を生じうる。血管蛇行,頭蓋骨早期癒合,先天性心疾患,関節拘縮,特徴的顔貌なども合併しやすいため,周術期管理に細心の注意を要する。