2022 年 26 巻 1 号 p. 87-92
大動脈弁無冠尖から僧帽弁前尖への移行部には,心筋組織や血管を含まない線維組織で構成されるMitral-Aortic Intervalvular fibrosa(MAIVF)と呼ばれる領域が存在し,様々な要因で仮性瘤が形成される。今回大動脈弁基部置換術後の基部仮性瘤に対し基部再置換術を予定された2症例で,術前の造影CTや経胸壁心エコーではわからなかったPseudoaneurysm of Mitral-Aortic Intervalvular Fibrosa(P-MAIVF)を術中の経食道心エコーで診断し,正確な位置の所在を確認し術式選択に寄与した。手術歴や既往歴からP-MAIVFを疑う場合,経食道心エコーの評価により病変の情報を外科医に提供し,適切な術式の選択に貢献することができる。