比較眼科研究
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ワークショップ
Ⅱ.各眼圧計の各動物種での比較試験結果
―ウサギ―
尾崎 潤一郎久世 博堀 正樹岡庭 梓
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1993 年 12 巻 3-4 号 p. 3-4_27-3-4_34

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抄録

ヒトで使用されている眼圧計5機種を用いて、ウサギの眼圧測定を試み、その適否を比較検討した。

使用した動物は、日本白色種ウサギ雄10匹で、測定期間中の週齢は12~16週であった。

用いた眼圧計はALCON、TONO-PEN、PERKINSの接触式眼圧計3機種と、TOPCON、KEELERの非接触式眼圧計2機種の計5機種である。眼圧の測定はウサギ各個体の両眼について朝、昼、夕の1日3回、各機種それぞれ3日間にわたって行った。

5機種のうち、PERKINSを除く4機種で測定可能であり、操作上実用的な機種はTONO-PENおよびKEELERであった。ALCONでの測定には熟練を要し、また、TOPCONは、形態的に実用性を欠いていた。PERKINSを除く4機種で得られたデータについて統計解析を行った結果、全機種で有意な日内変動が認められており、しかもTONO-PENを除く3機種では、3日間の測定を通じ規則的な日内変動パターンが記録された。TONO-PENでは、測定日によって日内変動パターンが異なっており、日内変動が規則的なものであると考えればこの結果には問題があると思われた。

非接触式眼圧計であるTOPCONならびにKEELERでは、比較的安定した結果が得られたが、それらの測定値が従来から報告されているウサギ眼圧値よりかなり低値を示していたこと、および機器の形態ならびに機能的な問題から判断してデータの信頼性という点で疑問が残った。

以上の結果から、今回使用した眼圧計のうち、測定に熟練を要するなどの問題は残されてはいるものの、総合的に判断してALCONが最適と思われた。

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© 1993 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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