比較眼科研究
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安全性試験および薬理試験に用いられたカニクイザルにおける自然発生眼病変
藤平 司郎松本 正博義澤 克彦大石 裕司岩波 黄葵藤井 登志之
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1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_147-3-4_154

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抄録

新薬開発のため過去13年間(1980年4月~1993年3月)の安全性試験および薬理試験に用いられたカニクイザル259頭について,その眼病変の病理組織学的所見を中心に集計した。観察に用いたサルの年齢は4~10歳である。眼球は4%グルタルアルデヒドおよび5%ホルマリンで二重固定し,常法通り,パラフィン包埋後薄切してへマトキシリン・エオジン染色を施し鏡検した。病変は水晶体,毛様体,網膜等で観察された。その種類と頻度は,炎症性の変化では,毛様体の限局性単核細胞浸潤が16例(6.2%)と最も高頻度であり,変性性の変化では網膜の嚢胞性変性が9例(3.5%)あり,先天性の変化では,網膜の屈曲が8例(3.1%)であった。これら以外にみられた散発例では,視神経のコーヌス(0.8%), 白内障(0.4%)であった。なお,コーヌスは一般的に先天性の病変と考えられており,白内障は加齢に伴う変性病変と考えられた。

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© 1994 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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