比較眼科研究
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13 巻, 3-4 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
Gelatt教授特別講演シリーズ
第13回年次大会
ワークショップ
  • 堀 正樹
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_113-3-4_114
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 通弘
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_115-3-4_120
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    カニクイザル0~20歳齢における各齢の標準眼底像,野生由来および育成カニクイザルにみられる異常眼底像を明らかにした。すなわち,(1)カニクイザルの0~20歳齢における眼底像は加齢に伴い眼底色調に著しい変化を示す。とくに,新生仔期から乳仔期における眼底色調の変化は著しい。(2)自然分娩仔では網膜出血が高率に認められ,帝王切開仔では低率である。(3)出生時に硝子体動脈遺残が観察した全例に認められ,3~6週齢までに消失する。(4)異常眼底所見としては,小円板症,円板拡張,有髄神経線維形成,動脈蛇行,静脈蛇行,動・静脈の蛇行,動静脈交叉,銅線化動脈,動脈吻合,静脈血管新生,硝子体動脈遺残,動脈の栓塞,網膜色素変性,黄斑変性,非中心性網膜変性,網脈絡膜欠損,網膜出血等が認められる。

  • 中山 直樹, 阪川 隆司, 中根 貞雄
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_121-3-4_127
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    カニクイザルの網膜電図(Electroretinogram: ERG) c波の意義およびその眼科学的検査への応用について検討した。

    成熟カニクイザル両性計6匹を使用し全身麻酔下にて,週1回の頻度で計4回(午前及び午後に各2回)c波を測定し,個体差,日内差及び日差の検討を行なった。その後,上記成熟カニクイザル中雄1匹を使用し,ヒトの測定条件に準じて全身麻酔下にて3回,暗順応及び明順応経過中のc波を経時的に記録し,c波時間曲線の検討を行なった。その結果,カニクイザルのc波は個体差が著しく,その上,同一個体での測定時ごとの変動も大きく日内差及び日差に一定の傾向は認められなかった。よって,通常のERG検査(a波,b波及び律動様小波)と同様な一時点のみのc波の測定ではこれを評価することは困難と考えられた。一方,暗順応経過中のc波時間曲線は順応開始12~15分後の振幅を極小値としたヒトのc波時間曲線と良く似た谷型の曲線を描いた。従って,カニクイザルのc波もc波時間曲線を描くことによりヒトと同様に眼科学的検査時のひとつの指標になりうると考えられた。

  • 鈴木 一臣, 片貝 淳次, 加部 春一, 相内 聖峰
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_129-3-4_137
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    2~5歳齢のコモンマーモセット(Common marmoset)を用い,麻酔下における暗順応各時間(暗順応前,暗順応後0, 5, 10, 15, 30, 45, 60分)を含むERG (Electroretinogram)の測定を行ない3歳齢のカニクイザル(Cynomolgus monkey)のそれと比較検討した。

    Common marmosetのERGの測定は適切に設計されたコンタクトレンズ型電極(直径7.6mm, 角膜半径3.5mm, 強膜半径4.5mm)の使用により可能であった。両サル種とも,その波形はa波,b波および数個の律動様小波から成り,15分後には極値に達したが,Common marmosetにおいて,より急激な経過であった。

    Common marmosetの麻酔下におけるERGは,コンタクトレンズ型電極の使用により測定が可能となり,その波形はCynomolgus monkeyと比較しても大きな差異は認められなかった。

  • 陳 竹君, 大嶋 陽子, 丸茂 留利子, 相内 聖峰
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_139-3-4_146
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    成熟した6~8歳のCommon marmosetとCynomolgus monkeyそれぞれの網膜微細構造を比較検討した。両種霊長類網膜の層構成は脈絡膜側から色素上皮層,桿体錐体層,外境界層,外顆粒層,外網状層,内顆粒層,内網状層,神経節細胞層,視神経線維層および内境界層に分けられた。Common marmosetの各層をCynomolgus monkeyのそれと比較すると色素上皮細胞はより扁平であり,視細胞外節の貪食像に乏しかった。両種の視細胞内節の近位部の筋様部には約70nm間隔の横縞を有するアクチン細糸の束がみられ,Common marmosetではCynomolgus monkeyのそれと比較して,より幅広く長く,横縞間に少数の縞を伴い,内節のほぼ全長を縦走した。Cynomolgus monkeyではアクチン細糸は,内節の近位部のみにみられ,横縞間の縞は不明瞭であった。その他の構造は両種間で類似した。

    これらの結果は両種の網膜の微細構造は相互に極めて類似していることを示している。

  • 藤平 司郎, 松本 正博, 義澤 克彦, 大石 裕司, 岩波 黄葵, 藤井 登志之
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_147-3-4_154
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    新薬開発のため過去13年間(1980年4月~1993年3月)の安全性試験および薬理試験に用いられたカニクイザル259頭について,その眼病変の病理組織学的所見を中心に集計した。観察に用いたサルの年齢は4~10歳である。眼球は4%グルタルアルデヒドおよび5%ホルマリンで二重固定し,常法通り,パラフィン包埋後薄切してへマトキシリン・エオジン染色を施し鏡検した。病変は水晶体,毛様体,網膜等で観察された。その種類と頻度は,炎症性の変化では,毛様体の限局性単核細胞浸潤が16例(6.2%)と最も高頻度であり,変性性の変化では網膜の嚢胞性変性が9例(3.5%)あり,先天性の変化では,網膜の屈曲が8例(3.1%)であった。これら以外にみられた散発例では,視神経のコーヌス(0.8%), 白内障(0.4%)であった。なお,コーヌスは一般的に先天性の病変と考えられており,白内障は加齢に伴う変性病変と考えられた。

  • 岡崎 啓幸, 山本 隆, 加島 政利, 下假 賢二, 須田 雅一, 永田 良一
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_155-3-4_164
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    無処置カニクイザル(雌雄,3~6才前後)の眼球の屈折状態およびERG c波について基礎的検討を行った。

    屈折状態は,全麻酔下に暗順応により散瞳させ,オートレフラクトメーターを用いて測定した。屈折状態は軽度遠視(+1.25 Diopter[D])から軽度近視(-1.75 D)に分布し,左右眼の平均値(n=20)は僅かに近視側(-0.301±0.790 D)であった。測定時刻による有意な変動(日内動揺)は認められなかった。5%フェニレフリン点眼で散瞳(交感神経刺激)しても,屈折状態に変化はなかったが,1%トロピカミドおよび1%アトロピン点眼によって散瞳(副交感神経麻痺,調節麻痺を伴う)すると,屈折状態の統計学的に有意な遠視方向への移動がみられ,カニクイザルにおける屈折状態はレフラクトメーターにより測定可能であることが示唆された。

    c波は,全麻酔下で1%トロピカアミドおよび5%フェニレフリンにより散瞳させて測定した。測定した雌雄カニクイザルのそれぞれ62%に陽性のc波が認められ,残りは陰性波を示した。陽性c波の平均電位およびその頂点潜時は,雄で267.1±44.9μV, 7.9±0.1秒(n=23), 雌で337.3±44.4μV, 8.0±0.1秒(n=18)であった。測定時期による変動は認められなかった。ヨウ素酸ナトリウム(70mg/kg)を単回静脈内投与した結果,c波は消失し,c波の振幅は間接的に約700μVと推測された。カニクイザルでは陰性波を示す動物がいるから,実験に先立って動物の選抜が必要であろう。以上の結果から,本法は網膜色素上皮の機能的検査方法の一つとして有用であると考えられた。

原著
  • 稲垣 覚, 田中 浩二, 落合 謙介, 鈴木 通弘, 長 文昭, 吉川 泰弘
    1994 年 13 巻 3-4 号 p. 3-4_165-3-4_169
    発行日: 1994年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    サルの網膜組織の光顕用標本作製法について検討した。剖検開始後約30分経過したカニクイザルの4眼球を1.5%グルタールアルデヒドと1%ホルムアルデヒド混合液に固定し,固定10分後に同固定液を硝子体に注入した。その約1時間後にカミソリを用いて眼球を矢状方向に2分割した。さらに2日間同固定液に固定した後,黄斑部網膜を15×4 mmの大きさに切り出した。これら網膜組織をパラフィンおよび光顕用樹脂(GMA, JB-4® Polyscience Inc.)に包埋し,スチール性替刃を用いて3ミクロンに薄切をした後,ヘマトキシリン-エオジン染色を施して鏡検した。通常のホルマリン固定材料をパラフィンに包埋して作製した標本には,網膜や脈絡膜の剥離,褶曲形成または亀裂等のアーチファクトが観察されることが多いが,今回用いた固定液ならびに固定法によりこれらアーチファクトは大幅に改善された。また,GMA標本はパラフィン標本に比べ保存性に優れ,特に神経線維等は明瞭に観察できた。

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