比較眼科研究
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原著
大ヘビ科ボールパイソンの唇板ピット赤外線受容器の微細構造:神経終末の周期的再生所見
雨宮 文明ゴリス リチャード跡部 好敏石井 則久楠 豊和
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1996 年 15 巻 1-2 号 p. 1-2_13-1-2_25

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抄録

ボールパイソンの唇板ピットの赤外線受容器の組織像を光顕および電顕にて観察した。受容器は,ピット底の角化層直下に存在し,8x20μmの縦長の終末神経塊iTNM)から成っていた。受容器は上皮細胞に囲まれ,支持されており,上皮細胞と共に,各脱皮周期に伴って,再生されては脱皮することが認められた。個々の終末は他のどの感覚器にも見られないほど数多くのミトコンドリアで満たされていた。受容器の下には,毛細血管が密に並んでいた。これは,おそらくミトコンドリアで満ちた受容器に必要なエネルギーを供給すると共に,受容器の温度感受性を安定化し,制御すると考えられる。変性終末とは異なった,活動している終末のうちには,ミトコンドリア内のエネルギー状態により,充電性およぴ放電性の二種の像を区別できた。さらに,個々のミトコンドリアの間には,はしご状の結合を認めた。これらから,ボールパイソンの赤外線受容器では,ミトコンドリアがインパルスの発生そのものに密に関与していることが示唆される。

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© 1996 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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