我々はApplanation Pneumatonograph (PTG)が,ウシ・ウマと同様イヌにおいても臨床応用可能であるか確認するために以下の実験を行った。
実験1: イヌの新鮮な摘出眼を用いて,in vitroでの眼内圧を直接操作し,0~50mmHgの間で5mmHgずつ,50~100mmHgの間では10mmHgずつ変化させ,そのときの眼内圧とその際にPTGを用いて測定した眼圧値との相関性を検討した。その結果,摘出眼におけるPTGの測定値と真の眼内圧との相関性は,0~100mmHgの間では決定係数がR2=0.980, 0~40mmHgの間ではR2=0.987といずれも高い相関を示し,PTGの測定は実際の眼内圧よりわずかに過小評価をしていることがわかった。
実験2: 本学附属家畜病院に'90年10月から'95年7月までの4年9カ月の間に,眼科疾患として来院したイヌ525頭1.016眼を対象として初診時の眼圧測定を行った。Gelattらの標準値15~25mmHgを導入し,実際にPTGを用いて眼圧測定を行い疾患別,年齢別,犬種別,性別に比較検討を行った。疾患別に関しては標準値を導入しない場合との間でも比較検討を行った。その結果,PTGを用いた眼圧平均値は18.6±3.2mmHgで年齢別,犬種別,性別いずれも20mmHgよりも低い傾向を示した。疾患別では,15mmHg以下の疾患数が標準値の導入で8から12疾患に増えた。症例数は10~15mmHgの範囲に集中し,正常域の下限は10mmHg付近と推測された。
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