比較眼科研究
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15 巻, 1-2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
施設紹介
第15回記念年次大会特別講演
原著
  • 雨宮 文明, ゴリス リチャード, 跡部 好敏, 石井 則久, 楠 豊和
    1996 年 15 巻 1-2 号 p. 1-2_13-1-2_25
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ボールパイソンの唇板ピットの赤外線受容器の組織像を光顕および電顕にて観察した。受容器は,ピット底の角化層直下に存在し,8x20μmの縦長の終末神経塊iTNM)から成っていた。受容器は上皮細胞に囲まれ,支持されており,上皮細胞と共に,各脱皮周期に伴って,再生されては脱皮することが認められた。個々の終末は他のどの感覚器にも見られないほど数多くのミトコンドリアで満たされていた。受容器の下には,毛細血管が密に並んでいた。これは,おそらくミトコンドリアで満ちた受容器に必要なエネルギーを供給すると共に,受容器の温度感受性を安定化し,制御すると考えられる。変性終末とは異なった,活動している終末のうちには,ミトコンドリア内のエネルギー状態により,充電性およぴ放電性の二種の像を区別できた。さらに,個々のミトコンドリアの間には,はしご状の結合を認めた。これらから,ボールパイソンの赤外線受容器では,ミトコンドリアがインパルスの発生そのものに密に関与していることが示唆される。

原短報
第15回記念年次大会一般口演
  • 中川 洋子, 竹川 晃司, 三村 哲夫, 山村 高章, 久世 博, 川合 是彰, 堀 正樹
    1996 年 15 巻 1-2 号 p. 1-2_31-1-2_37
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    WBN/Kobラットは,自然発症糖尿病動物として知られているが,糖尿病性網膜症とは別の機序で早期に網膜症を発症することが知られている。今回,メルコックス樹脂注入標本を用いてWBN/KobラットおよびWistar系ラットの網膜血管構築の加齢変化を実体顕微鏡および走査電子顕微鏡を用いて比較検討した。その結果,WBN/Kobラットにおいて14週齢から21週齢までは血管構築の著しい変化はなかったが,23週齢から細静脈の狭細化や毛細血管の一部に狭窄がみられた。さらに70週齢ではそれらに加えて動静脈の交叉現象や毛細血管網を形成する毛細血管数の減少がみられた。早期の非糖尿病性網膜症発症に随伴する網膜血管の変化と糖尿病発症後の血管構築の異なる変化がWBN/Kobラットで明確に検出できた。

  • 鈴木 通弘, 小野 孝浩, 小川 浩美, 長 文昭, 吉川 泰弘
    1996 年 15 巻 1-2 号 p. 1-2_39-1-2_43
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    カニクイザル新生仔3,978頭の前眼部を調査し,両眼の水晶体が完全に白濁している3個体を認め,先天性白内障と診断した。先天性白内障に遺伝的素因が関与しているか否かの検討が必要である。

  • 坂本 雄二, 小河 貴裕, 藤井 利道, 古川 敏紀, 印牧 信行
    1996 年 15 巻 1-2 号 p. 1-2_45-1-2_48
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ステロイド緑内障はステロイド剤の点眼に伴い眼圧上昇の起こる状態をいう。また,その発症には遺伝性である可能性も示唆されている。そこで有色家兎を用い,ステロイドを点眼し,眼圧上昇のみられた個体を選抜交配することによりステロイド緑内障発症モデルの確立を試みた。結果は眼圧上昇個体選抜の為の試験では65匹中25匹に眼圧上昇を認めた。この25匹に3ケ月の休薬期間をおいた後,再度,確認のために行った試験では眼圧上昇は認められなかった。今回3ケ月の休薬期間中の成長が反応消失を来したのではないかと考えられ,今後,試験実施時期の設定を十分に検討する必要があると考える。

  • 小谷 忠生, 津山 慎吾, 小川 祐之介, 泉澤 康晴, 山下 和人
    1996 年 15 巻 1-2 号 p. 1-2_49-1-2_58
    発行日: 1996年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    我々はApplanation Pneumatonograph (PTG)が,ウシ・ウマと同様イヌにおいても臨床応用可能であるか確認するために以下の実験を行った。

    実験1: イヌの新鮮な摘出眼を用いて,in vitroでの眼内圧を直接操作し,0~50mmHgの間で5mmHgずつ,50~100mmHgの間では10mmHgずつ変化させ,そのときの眼内圧とその際にPTGを用いて測定した眼圧値との相関性を検討した。その結果,摘出眼におけるPTGの測定値と真の眼内圧との相関性は,0~100mmHgの間では決定係数がR2=0.980, 0~40mmHgの間ではR2=0.987といずれも高い相関を示し,PTGの測定は実際の眼内圧よりわずかに過小評価をしていることがわかった。

    実験2: 本学附属家畜病院に'90年10月から'95年7月までの4年9カ月の間に,眼科疾患として来院したイヌ525頭1.016眼を対象として初診時の眼圧測定を行った。Gelattらの標準値15~25mmHgを導入し,実際にPTGを用いて眼圧測定を行い疾患別,年齢別,犬種別,性別に比較検討を行った。疾患別に関しては標準値を導入しない場合との間でも比較検討を行った。その結果,PTGを用いた眼圧平均値は18.6±3.2mmHgで年齢別,犬種別,性別いずれも20mmHgよりも低い傾向を示した。疾患別では,15mmHg以下の疾患数が標準値の導入で8から12疾患に増えた。症例数は10~15mmHgの範囲に集中し,正常域の下限は10mmHg付近と推測された。

資料
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