比較眼科研究
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欧州獣医眼科学専門集団(ECVO)制定のDiplomateのための眼診断書統一書式について
福井 正信平見 博古川 敏紀
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1998 年 17 巻 1-2 号 p. 1-2_45-1-2_50

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抄録

'96年秋、中東地域で予定の会議が、現地の厳しい状況から延期され、'97年4月、英国Birmingham市で開催されたECVO/ESVO Joint Meetingに於いて、標記眼検査のための診断書統一書式が討議・制定され、関係書類コピーをECVO-Diplomatesから戴いた。

過去、印牧が入手のACVO-Card1)中の眼疾患43項目ほどに比し、此処では17疾患がまず対象となっている。またACVO-Cardでは左右計4図の眼各部模式図が、左右各4図計8図となり、変異のより具体的な記載が可能となっている(Fig. 1-a)。これは、EU域内の獣医大、Ecole d'Alfort眼科カルテ3)に印刷の模式図計12図につながる思想とも受けとれる。

国内の診断書は、一般にこの様な図を挿入する例に乏しく、従って、各々のカルテに記録のみの、JCVCO Diplomate用診断書形式で、当面、差し支えはないと判断されよう。持ち主のプライバシーを尊重しての情報の開示としては、撮影写真の“提供先に制限を付しての送付”で、要求を満たし得よう。本診断書には域内各国語(英、仏、独、伊、和蘭など)への配慮もみられる(Fig 1-b)が、EU加盟各国は、各々、この書式で印刷・準備し、眼疾患調査・診断を進めることとなる。'96年9月、独国Giessen市で開催のECVO会議での討議記録(添付資料)にみるEye Scheme Examiner (ESE)は、ACVO-Resident、JCVCO-Associateにほぼ相当しようが、勿論、その細部は、相互に異なる。当面、この水準での国際的な整合の必要は感じないが、制度は理解すべきであろう。何れにしても活動の中核はECVO、ACVOと共にJCVCOもDiplomateがその責に任ずることとなり、相互間の診断書の交流もこの水準で進めることが望まれる。

本資料の入手に御協力いただいたProf. Bjerkȧs, Prof. Stadesに、改めて、深堪の謝意を表する。

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© 1998 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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