1998 年 17 巻 3-4 号 p. 3-4_87-3-4_96
ラットおよびマウスの自然発症白内障モデルについて最近の知見を紹介する。UPLラットヘテロ型、ICR系ラット、RCS系ラット、Emoryマウス、SAMマウスの白内障発症機序には、水晶体の酸化障害が関与している。ICR系ラット、Nakanoマウスでは、イオンポンプの異常が報告されている。また、UPLラット、SCR系ラットでは、タンパク質分解酵素の活性化によるタンパク質の変性が報告されている。これらの遺伝性白内障モデルを組み合わせた研究は、ヒト白内障の発症機序の解明あるいは新たな治療方法の確立に寄与するものと思われる。
また、胎生期から形態変化が始まるUPLラットホモ型、Bmn系(BW系)ラット、Ctsマウス、Cataract-Fraserマウス、Eloマウスなどのモデルでは、小眼症を併発するケースが多い。これらのモデルは、小眼症を併発するヒトの先天性白内障の研究モデルとして活用できるであろう。