比較眼科研究
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17 巻, 3-4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総説
  • 1. ラットおよびマウス
    友廣 雅之
    1998 年 17 巻 3-4 号 p. 3-4_87-3-4_96
    発行日: 1998年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    ラットおよびマウスの自然発症白内障モデルについて最近の知見を紹介する。UPLラットヘテロ型、ICR系ラット、RCS系ラット、Emoryマウス、SAMマウスの白内障発症機序には、水晶体の酸化障害が関与している。ICR系ラット、Nakanoマウスでは、イオンポンプの異常が報告されている。また、UPLラット、SCR系ラットでは、タンパク質分解酵素の活性化によるタンパク質の変性が報告されている。これらの遺伝性白内障モデルを組み合わせた研究は、ヒト白内障の発症機序の解明あるいは新たな治療方法の確立に寄与するものと思われる。

    また、胎生期から形態変化が始まるUPLラットホモ型、Bmn系(BW系)ラット、Ctsマウス、Cataract-Fraserマウス、Eloマウスなどのモデルでは、小眼症を併発するケースが多い。これらのモデルは、小眼症を併発するヒトの先天性白内障の研究モデルとして活用できるであろう。

  • 螺良 愛郎, 義澤 克彦, 三木 弘彦, 大石 裕司, 藤井 登志之
    1998 年 17 巻 3-4 号 p. 3-4_97-3-4_103
    発行日: 1998年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    N-mehyl-N-nitrosourea (MNU)による網膜障害を系統発生的にみると、齧歯目(マウス・ラット・ハムスター)・食虫目(トガリネズミ)・霊長目(サル)といった広範な哺乳類の成獣への単回投与により、各種属に雌雄差なく視細胞アポトーシスに起因する網膜変性症が惹起される。これは、ヒト網膜色素変性症(Retinitis pigmentosa)と同一機転によるが、サルではヒトと同様赤道部に病変が初発するのに対し、マウス・ラット・ハムスター・トガリネズミでは後極部より病変が始まる。一方、ヒトでは視細胞アポトーシスに続発して色素上皮細胞の網膜内遊走、次いで網膜内血管周囲集簇が生じるが、マウス・トガリネズミ・サルでは色素上皮細胞の網膜内遊走はみられず、ラットでは色素上皮細胞の遊走はみるが網膜内血管周囲集簇は認めず、ハムスターのみ網膜内血管周囲集簇を呈する。MNUの網膜障害を個体発生的にみると、MNUのマウスへの単回投与を網膜細胞増殖期(生後1日あるいは3日)に行うと、ロゼット形式で特徴づけられる網膜異形成の発生をみるが、網膜細胞分化期(生後5あるいは8日)では網膜は形態変化を示さず、網膜が分化した後(生後11日以降)、では網膜変性をみた。MNUは性差・種属差なく網膜障害を誘発するが、投与時期により網膜の反応は異なる。

原著
  • 大塚 博比古, 松田 佳昭, 西田 信之
    1998 年 17 巻 3-4 号 p. 3-4_105-3-4_109
    発行日: 1998年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    視機能評価指標の一つとして用いられている網膜電図(ERG)の日内変化を記録することにより、ラット網膜機能に概日リズムが存在するか否かを検討した。

    4~7ヵ月齢の雄性Jcl: Wistarラットを用いた。ERGは、動物の左側眼球の強膜内に慢性的に埋め込んだ電極から無麻酔・無拘束下で4時間毎に2日間連続して記録した。動物を15分間暗順応させた後、キセノンランプを用いて1Jの光刺激を行い、得られた波形を30回加算平均した。ERGのa波及びb波は振幅及び潜時を、律動様小波はO1, O2及びO3の振幅の和を律動様小波和として計測した。動物室の通常照明サイクル(点灯時間帯7:00~19:00)下では、a波及びb波の振幅は23:00あるいは3:00に最大値を、11:00あるいは15:00に最小値を示し、潜時は23:00あるいは3:00に最小値を、11:00あるいは15:00に最大値を示した。律動様小波和でも同様の変化がみられ、網膜の光に対する反応性は暗期に亢進し、明期に低下するといった一定のリズムで変動した。同様のERGの日内変動は、照明を常時点灯あるいは常時消灯した条件下で記録した場合においても認められた。従って、この日内変動は生体自身のもつ概日リズムに起因していると考えられた。また、照明周期を反転(点灯時間帯19:00~7:00)し、約1ヵ月間飼育した場合にはERGの概日リズムに12時間の位相のずれが生じたことから、照明周期(光)がERGの概日リズムの同調因子の一つであることが示唆された。

    以上より、ラット網膜の光に対する反応は日内変動し、暗期に亢進、明期に低下するといったラットの行動リズムに類似した概日リズムを有することが示された。

  • 0日齢より15歳齢にいたる各齢での所見
    鈴木 通弘, 冷岡 昭雄, 長 文昭, 寺尾 恵治, 本庄 重男
    1998 年 17 巻 3-4 号 p. 3-4_111-3-4_118
    発行日: 1998年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    0日齢より15歳齢にいたる各時点での健康なミドリザル合計365頭の眼底像を観察し、各部位の所見について各齢の微妙な差を記録・分析した。その結果、ミドリザル0日齢より15歳齢における眼底像は加齢に伴い眼底色調に著しい変化を示すこと。網膜出血が自然分娩仔では認められ、帝王切開仔では認められないことが明かとなった。

  • 阪西 弘太郎, 工藤 荘六, 印牧 信行, 松浦 健二
    1998 年 17 巻 3-4 号 p. 3-4_119-3-4_123
    発行日: 1998年
    公開日: 2020/12/25
    ジャーナル フリー

    正常な犬眼140眼を対象に、ハンディータイプのオートレフラクト・ケラトメータを使用して、犬眼の屈折および角膜曲率半径を測定し、年齢および体重との関係について検討をおこなった。

    犬眼の屈折において、等価球面度数の平均は+1.9±3.0Dと全体的に若干の遠視傾向(検査した犬の約80%)が認められた。しかし、年齢、体重との相関は認められなかった。角膜曲率半径の平均は8.4±0.9mmであり、年齢、体重との相関は認められなかったものの、体重が重い犬種ほど角膜曲率半径も大きくなる傾向が認められた(相関係数0.92)。また、屈折(等価球面度数)と角膜曲率半径に相関は認められなかった。

    今回の検討結果は犬用眼内レンズのパワーを設計する上で、役立つものと考えられた。

原短報
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