雄のビーグル犬の1例で右眼に視神経乳頭の萎縮が認められた。眼科学的検査では、視神経乳頭の小型化及び色調異常、網膜動脈の減少が認められた。さらに光刺激に対する瞳孔反射の異常が進行性に認められた。病理組織学的検査では、右眼の視神経における神経線維の減少、膠原線維の増加及びグリオーシス、網膜における神経線維の空胞化、神経節細胞の減少及び内網状層の菲薄化が認められた。
本症例は、瞳孔反射の異常及び病理学的検査の結果より、視交叉から網膜の間における右側視神経に障害の存在が疑われた。さらに網膜血管に異常が認められていること、右視神経に膠原線維の増加及びグリオーシスが認められたことから、循環障害による下行性の視神経萎縮と推察された。