2002 年 21 巻 3-4 号 p. 155-158
5~6歳の雄のカニクイザルを用いたマレイン酸チモロールの眼圧降下に塩酸ケタミンによる麻酔の及ぼす影響について調べた。
眼圧測定の都度、塩酸ケタミン麻酔を行い、麻酔の数分後に眼圧測定を行った。
塩酸ケタミン麻酔により無麻酔下に比較して有意な上昇あるいはわずかな上昇がみられた。また、マレイン酸チモロール点眼後に塩酸ケタミン麻酔下で眼圧を測定した場合、5mg/kg麻酔は無麻酔とほぼ同程度で、10mg/kgは5mg/kg麻酔および無麻酔に比べて眼圧降下が大きかった。
ケタミン麻酔量の増加がマレイン酸チモロールの眼圧降下作用をより大きくし、さらに麻酔深度の個体差が反映しバラツキもより大きくなった。サルでの眼圧測定は充分な馴化を行なったうえで、無麻酔下で実施することが望ましいと考える。