比較眼科研究
Online ISSN : 2185-8446
Print ISSN : 0286-7486
ISSN-L : 0286-7486
短報
眼科薬開発に汎用される実験動物であるウサギ、イヌ及びカニクイザルの眼球に関する比較解剖学検討
厚見 育代倉田 昌明榊 秀之
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 32 巻 p. 35-41

詳細
抄録

眼球に関する比較解剖学的研究は古くから広く実施されている。実験動物の眼球に関する知見は、眼科用医薬製品開発の非臨床試験評価において必要不可欠である。しかしながら、これらの知見は散在しており、点眼や硝子体内投与といった眼局所投与の研究において汎用される動物種(ウサギ、ビーグル犬、カニクイザル)に関しても、比較実験成績はないか、あるいは容易に入手できない状況にある。そこで我々は、ウサギ、イヌ及びサルを対象として、眼球、水晶体及び硝子体の解剖学的特徴を比較検討することを目的として本研究を行った。
今回の検討において、眼球の大きさ(眼軸長、重量及び容積)、水晶体の大きさ(厚み、重量及び容積)及び硝子体の大きさ(重量及び容積)を各動物種について計測した。3種間の比較結果では、眼球の大きさはイヌが最も大きく、サル、ウサギの順であった。眼球の大きさと体重の間に正の相関があった。水晶体の大きさについては、イヌが最も大きく、ウサギ、サルの順であり、眼球の大きさや体重とは相関しない結果であった。硝子体の大きさは眼球の大きさと同じ順であったが、その眼球に対する割合はサルが最も大きかった。
以上、眼局所投与の研究に汎用されるウサギ、イヌ及びサルの眼球、水晶体及び硝子体の大きさを詳細に比較検討した。今回得られた知見は、非臨床試験の評価やヒトへの外挿性において重要かつ有益な情報に成り得るものと考えられる。

著者関連情報
© 2013 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
前の記事 次の記事
feedback
Top