2022 年 41 巻 p. 22-26
網膜神経線維は一般に無髄神経線維であるが、網膜神経線維にミエリン鞘が被覆した網膜有髄神経線維は、イヌ及びウサギを除く動物において自然発症病変として知られている。しかしながら、一般毒性試験に汎用されるアルビノラットにおける報告例は少ない。今回、アルビノSprague-Dawleyラットの1例において観察された自然発生性の網膜有髄神経線維について報告する。本症例は、5週齢時検査では観察されず、9週齢時の倒像検眼鏡検査において、左眼の眼底に透明な羽毛状の形態を示す病変として観察された。本病変は眼底の赤外反射検査で高反射性を呈し、光干渉断層撮影検査で網膜の神経線維層に肥厚及び高反射が観察された。病理組織学的検査において、病変部はルクソールファストブルー-ヘマトキシリン・エオジン染色で青染され、抗myelin basic protein抗体を用いた免疫染色で陽性であった。以上の結果より、網膜有髄神経線維と診断した。本病変は5週齢時には認められなかったことから、先天的な病変ではなく生後の成長過程において発現したと考えられた。また、白色と報告されているヒトの病変と異なり色調が透明であったため、倒像検眼鏡検査による病態の把握は困難であったが、赤外反射検査及び光干渉断層撮影検査は病態を鮮明に映し出すため診断に有用であった。