2026 年 10 巻 3 号 p. e33-e36
本稿は、映画作家・大林宣彦の制作過程資料を対象として、デジタルアーカイブ化における論点を検討するものである。筆者は、2023年に広島県内の保管倉庫を訪問したことを契機に、未整理状態にある映像媒体および文字媒体の構成と保管状況について継続的に状況把握を試みてきた。本ケーススタディは、今後本格化する私蔵資料研究の前段階として、その基盤となる過程を検証し、資料の「保存」「修復」「公開」「活用」に関わる課題を明らかにする。その上で、研究目的を起点として資料を暫定的に分類・照合する実践を「研究的試掘」と位置づけ、継承可能な保存・活用の枠組みを検討することを目的とする。