2021 年 5 巻 s2 号 p. s172-s175
20世紀前半、日本や中国では映画館が発行した映画館プログラムや映画会社による映画パンフレットが大量に流通した。それらの資料はエフェメラルな性質が強いことから、機関による体系的な収集ではなく個人蒐集家の私的なコレクションの対象として捉えられてきた。しかし近年、映画館プログラムの歴史研究上の価値が再評価されるにしたがい、映画史研究の資料として用いる事例が増えている。筆者自身も中国映画史研究を遂行する過程で研究資料としての映画館プログラムや映画パンフレットの史料価値に気づき、今日まで収集を続けてきた。2019年からは、その成果の一部を「東アジアの映画関連資料アーカイブ」としてオンライン上で公開している。本発表では、他機関が運営する類似のアーカイブの状況もふまえつつ、映画関連資料アーカイブ群がもたらすであろう新たな研究の可能性について考察する。