2021 年 5 巻 s2 号 p. s187-s190
慶應義塾ミュージアム・コモンズで2020 年10 月に開発した新しいデジタル・ミュージアム「Exhibition RoomX(以下RoomX)」の設計思想と実装について報告する。RoomX は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、デジタル・メディアでの開催に移行した展覧会「人間交際」のためのプラットフォームである。RoomX では、作品が出会い交流を生み出す展覧会を、デジタル・メディアにのみ可能な表現によって実現するという狙いのもと、物理的な空間の軛を外した展覧会表現を試みた。その成果として、作品を繋ぐナラティヴをアクセスの度に解体し繋ぎ直すことで、作品同士の思わぬ出会いを生み出すデジタル・ミュージアムが構築された。本稿では、「Exhibition RoomX」の実践を共有し、デジタルが可能にする展覧会の新しい表現について、ナラティヴとセレンディピティの共存に焦点を当てた報告を行う。