デジタルアーカイブ学会誌
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一般研究発表 (沖縄現地会場)
[D12] 失われゆく牧畜文化を活写するための「フィールド・アーカイビング」:『チベット牧畜文化辞典』編纂の経験から
星 泉岩田 啓介平田 昌弘別所 裕介山口 哲由海老原 志穂
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2022 年 6 巻 s3 号 p. s198-s201

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抄録

チベット高原では都市への移住と村落部の生活変化が急速に進み、家畜飼養と密接に結びついて長期間かけて形成されてきた民俗文化が、十分な学術調査がなされないまま、急速に失われようとしている。発表者らはこれを憂慮し、チベット高原東北部の青海省ツェコ県において、牧畜民出身の研究者と現地の人々とともに6年間にわたる現地調査を実施し、牧畜民の民俗文化を体系的に整理した『チベット牧畜文化辞典』を刊行した。調査の過程では、辞典には収録しきれない語り・映像・写真・音声・文学作品など多岐にわたる情報が得られ、発表者らの手元に残されている。これらを有機的に結びつけた形でアーカイブすることによって民俗文化を再現的に活写することを課題とし、現在実験的試みを続けている。本発表では、この一連のプロセスから成る研究の営みを「フィールド・アーカイビング」と位置づけ、その意義と可能性について論じる。

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