2023 年 7 巻 1 号 p. 28-31
劇作家、演出家、舞台美術・衣装・照明・音響スタッフ、音楽家、振付家、俳優(実演家)など実に多くの者が制作に関与する舞台芸術公演の収録・アーカイブ・利活用においては、その権利関係を整理することは欠かせない。ここではEPAD事業や実務の経験を踏まえ、観客が劇場で体験した「なま」の公演そのものを保存することはできないという特徴を有する舞台芸術のアーカイヴィングにとって、最も重要な資料の一つと考えられる公演映像の保存・利活用のための権利処理を念頭におき、「権利の固まり」ともいえる公演映像に特有の権利の壁と、それを乗り越える上で有益と思われる視点を示したい。