2023 年 7 巻 4 号 p. 181-184
本論は、MLA(博物館、図書館、文書館)のうち、特に博物館のデジタルアーカイブ(以下「DA」という)に関し、国際的な著作権制度の対応状況を概観することを目的とする。まず、著作権関連条約の種類と内容を概観した後、DAが著作権と著作物を享受する権利という双方の人権の中での取組みの中に位置付けられることを明らかにし、WIPOにおけるMLAと知的財産に関する取組みも取り上げる。次に、欧米の著作権制度を中心に博物館のDAがどの程度可能となっているか検討し、我が国の現行制度との若干の比較検討を最後に行った。その結果、我が国の著作権制度は、MLAがDAを比較的実施しやすい環境にあることが明らかになった。