抄録
筆者らは老朽化ため池 (堤高H <15 m) の堤体改修を目的に,貯水池内に堆積した底泥土を固化処理して所要の強度と遮水性を有するように人工的に製造した築堤土により堤体を築造できる砕・転圧盛土工法を開発してきた。この工法は堤体改修と底泥土の除去処分が同時に達成できることから,ため池よりも規模の大きいフィルダム (H ≥15 m) の堤体改修に適用できれば経済的で効率的な改修が期待できる。しかしながら,この工法は設計法がため池を対象としたもので堤体安定に必用な強度の設定に一軸圧縮強さquを使用しており,フィルダムのような堤高の大きい堤体に適用するには土質力学的に不合理な面がある。そこで,本論文では,フィルダムの堤体改修における堤体安定に必要な固化処理底泥土の強度として三軸圧縮試験による (c', φ') を使用した新しい設計法を提案するものである。