抄録
八汐ダム調整池では,熱水変質と大規模岩盤クリープが主な生成要因と考えられる高角度の開口割目を主体とする割目のネットワークが形成され,極めて深部まで連続するミズミチが分布する。止水対策に向けて実施した試験グラウチング等の結果,湛水した状態の調整池底部において地下水位以下で注入を実施した場合,注入圧力に加え,セメント粒子の限界沈降速度より大きな浸透流速を活用して,主な開口割目に対して効果的なグラウチングが図られ,減水効果が確認されている。本論文では,このような注入メカニズムに対して定性的な考察を行ったものである。