本研究では徳山ダム(独立行政法人水資源機構・岐阜県揖斐郡揖斐川町)における試験湛水前から2014年8月21日までの長期間の地震観測記録にNIOM法を適用して堤体内の地震波の伝播時間と物性値の変化を検討した。その結果,(1)堤体上部区間では試験湛水中の水位上昇に伴う伝播時間の増加,また,試験湛水後には堤体の剛性増加による伝播時間の減少が見られること,一方,(2)下部区間では単調に伝播時間が減少し,湛水による有効土圧の低下の影響も見られないことを示した。また,(3)地震時には一時的に堤体の剛性が低下することがあることから,地震動の分析によって平常時の堤体の物性を把握しておくことの重要性を指摘した。