2020 年 30 巻 2 号 p. 120-128
近年,日本では既存のダムの運用高度化が求められている。そのなかで発電ダムの治水への活用が検討されているが,治水と発電の利益相反やデータ不足等により十分な検討は進んでいない。本研究では,発電ダム群でカスケードモデルを作成し,無効放流を減らしつつ治水効果を改善する事前放流方法を検討した。結果として,予測雨量を用いた事前放流操作の追加により一洪水あたり平均0.7億円相当の無効放流の削減ができ,また連携操作と事前放流操作を組み合わせることで治水にも一定の効果があることが示された。