2026 年 36 巻 2 号 p. 147-160
本研究では,嵩上げ重力式コンクリートダムにおける温度応力対策の立案に資することを目的として,既設堤体ならびに嵩上げ着工時から竣工後5年間にわたり新堤体で計測された温度,ひずみおよび応力などのデータを分析した。計測結果に基づき,ダムコンクリート内部における温度の空間分布および経時変化を明らかにするとともに,打込み直後から温度安定期までを対象として,環境温度,深度および経過時間をパラメータとするダムコンクリートの温度予測式を提案した。ダムコンクリートの打込み初期においては,提案式による予測値と実測値との間にやや大きな乖離が認められたものの,温度安定期においては概ね良好な予測精度が得られた。また,計測データを用いて,嵩上げ新堤体におけるダムコンクリートの熱膨張係数および弾性係数を算出した。さらに,嵩上げ竣工後に実施された試験湛水時のダムの変形挙動について再現解析を行い,算出した熱膨張係数および弾性係数が概ね妥当かつ実測データが確かであることを確認した。