抄録
フィルダム監査廊の施工の合理化に適するプレキャスト工法について, コンクリートダムの監査廊のプレキャスト工法と比較検討し, 鉄筋を組み込まないプレキャスト型枠工法が適することを示した。また, 堤高100m級のフィルダムを想定して実施した, 実物の60%スケール模型の構造実験 (一体性確認試験) の概要と試験結果, ならびにフィルダム監査廊のプレキャスト工法を実施工へ適用した結果を簡潔に示した。一体性確認試験の結果から, フィルダム監査廊の施工にプレキャスト型枠を用いても, プレキャスト型枠と周囲に後打設するコンクリートとの応力は, アーチ部の引張, 側壁部の圧縮ともに確実に伝達され, プレキャスト型枠と周囲に後打設するコンクリートとの一体性は確保でき, 従来工法と変わらない構造性能であることがわかった。