2021 年 40 巻 1 号 p. 59-63
チタンは生体親和性に極めて優れた金属材料として,医科・歯科領域で確固たる地歩を築いている.当講座では,従来の歯科用合金の代替合金としてではなく,より安全な材料を使用した補綴装置を口腔内に装着することが第一と考え,四半世紀前から鋳造によるチタンフレームワークの積極的な臨床応用を行い,これまでに1,000床以上のチタン床義歯を装着してきた.製作工程あるいは経過観察から,チタン床義歯の問題点を検討し,基礎的研究と技工上,臨床上の工夫から解決に努めてきた.その結果,有床義歯フレームワーク用金属としてのチタンの高い有用性を確認し,現在も臨床応用を積極的に継続しつつ,新たな発展性を模索している.
本稿では,有床義歯補綴学を専門とする臨床医の立場から,これまでに直面した臨床的問題点と解決策を整理し,鋳造だけでなくミリングあるいは金属積層造形によるチタン床義歯を展望する.