高強度歯科用チタン合金開発の基材として5~20%(mass%)のMnを含有したTi-Mn合金を試作し,その鋳造体の合金相,硬さ,耐力,引張強さ,伸びを調べた.X線回折試験の結果,Ti-5~7%Mnはα+β合金で,8%Mn以上の組成は準安定β相を持つ合金であった.Ti-6~8%Mnには~相のピークも認められた.Ti-Mn合金の硬さはいずれもTiより有意に大きかった.Ti-7%Mnの硬さは~相の析出により500 HV以上であった.準安定β相であるTi-10~15%Mnの硬さは350 HV前後であった.Ti-5%Mn合金と9~14%Mnの強さはTiより有意に大きく,5%Mnと10%Mnの引張強さは800 MPa以上であった.前者の強さの向上には固溶強化と析出強化が,後者の向上には固溶強化がそれぞれ寄与した.Ti-Mn合金の伸びは小さかったが,いくつかの組成の破断面にはディンプルが認められた.高強度Ti-Mn-X系3元合金を開発するための基材となる組成は,Ti-10~14%Mn合金である.
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