日本歯科理工学会誌
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総説
歯冠修復材料としての純チタンの理工学的特性
塙 隆夫
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2021 年 40 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

純チタンの歯冠修復材料としての理工学的特性(歯科鋳造後の機械的性質,加工性・成形,ろう付け・溶接,研磨・切削,陶材焼付・レジン接着,セメント合着,腐食・変色)について,純チタン本来の性質とこれまでの研究結果をまとめながら概観する.歯冠修復材料としての純チタンの研究の大多数は日本の研究者によって行われてきた.純チタンの機械的性質は,歯科鋳造の過程での不純物元素の固溶と埋没材との反応層形成によって変化する.その切削にはダイヤモンドホイールが適当である.純チタン接合のためにはアルゴン雰囲気下でのレーザー溶接が有効であり,また陶材焼付とレジン接着においては,サンドブラストと化学処理による反応層の除去が効果的である.また,歯質との合着にはレジンセメントが最もよい.一方,歯磨き粉や洗口剤に含まれるフッ化物は純チタンを口腔内で腐食や変色させる.

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© 2021 一般社団法人 日本歯科理工学会
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